群馬県邑楽郡、栃木県栃木市他、埼玉県加須市、茨城県古河市と、4県にまたがる「渡良瀬遊水地」。
谷中湖(やなかこ)を含む広大な面積の渡良瀬遊水地ですが、誕生や用途について、ご存知でしょうか。
渡良瀬遊水地は平地型ダム
渡良瀬遊水地は普段、谷中湖のみに貯水していますが、流入量に応じてその貯水量・面積が大きく変化します。
谷中湖 総貯水量:約2,640万m3
ある程度の深さまで水が流入すると流入堤を超えて水が調節池へ流れる仕組みで、渡良瀬川から利根川へ流れ込む水の量を調節することが出来るようになっています。
渡良瀬遊水地 総貯水量:約1億7,000万m3
スケールが大きすぎて桁がよくわかりませんね・・・
この貯水量により利根川下流域、江戸川流域の氾濫を回避できる様になりました。
2019年台風19号(令和元年東日本台風)時には、総貯水量の95%の水位にあたる1.6億㎥の水が治水され、下流域の氾濫抑止につながりました。
すべての調整池に水が入り、ゴルフ場なども水浸しになっています。
当時の水位が体験活動センターの壁に記されていました。
スタッフの方々のお話によると、現在の体験活動センターは再建されたもので、2019年当時は現在の場所より低い場所にあったため、1階建てのセンターは水没してしまったとか。
再建された体験活動センターには、上記水位の更に上になるような2階が設けられていました。
渡良瀬遊水地は、洪水調節・不特定利水の目的で、ダムと定義されています。
渡良瀬遊水地の歴史
利根川に流れ込む渡瀬川と思川、巴波川に囲まれた渡良瀬遊水地近辺は、古くから広大な沼地であり大きな湿地帯でした。
1889年(明治22年)、湿地帯の中央部あたりに谷中村が発足しましたが、渡良瀬遊水地の設置に伴い村は栃木県の藤岡町に合併という形で消滅してしまいました。
ダム建設時にありがちな、村が沈んでしまうお話です。
遊水地設置には様々な経緯があり、洪水対策とされていますが、その裏には「足尾銅山鉱毒事件」が大きく関わっているようです。
渡良瀬川沿岸への鉱毒流出を食い止める役割があったのではないかと考えられます。
国土交通省管轄のダム、河川ですから、やはり国策でしょうか。
立ち退きを迫られた谷中村の人々の中には北海道開拓へ行った人もいるとかで・・・深堀するとなかなか黒そうな感じがします。
今でも成分の検出があるらしく、傷が深い問題ですね・・・。
ただ、2019年の台風被害で渡良瀬遊水地の本領を発揮されたと思います。
多くの人の嘆きの先に、多くの命が救われる現実がありました。
谷中湖のアクティビティ
谷中湖は3つのブロックに分かれていて、それぞれに可能なアクティビティが定められています。
渡良瀬遊水地内の移動手段
遊水地内、基本的に車は通れないので徒歩・自転車移動になりますが、断然自転車移動がお勧めです!
本気のチャリンカーもとい、サイクリストがいらっしゃるのでまぁまぁのスピードで走っていらっしゃるのですが、ママチャリだって全然平気です。
施設内にはレンタサイクルの用意があります。
レンタサイクルネットワーク
渡良瀬遊水地の東と西に、レンタサイクルが用意されています。
決められた場所であれば相互乗り入れが出来る為、借りた場所以外で乗り捨てられて便利です。
上記マップの⑤~⑧に関しては無料、①~④に関しても一日最大600円なので入場料のかからない渡良瀬遊水地では、移動手段としておすすめ!
このマップを見てわかるように、スケールがとっても大きいです。
このルールを全く知らなかったので、私自身、逆走している場面がありました。
レンタサイクルをお借りするとき、一言教えてほしかったです( ノД`)
渡良瀬遊水地を巡る
東武日光線・柳生駅から歩いて三県交差点に訪れた後、渡良瀬遊水地・中央エントランスから谷中湖へ入りました。
ちなみに柳生駅から徒歩の王道パターンは、「道の駅かぞわたらせ」から、まごころ橋を通って入るか、「道の駅かぞわたらせ」でレンタサイクルを借り、自転車で渡良瀬遊水地を巡るというルートらしいです。
どこから行こうと自由ではありますが、私たちの選択は炎天下の中ではイバラの道だったようで、ここから灼熱の太陽の下を歩くことになりました・・・(;´・ω・)
中央エントランスから西橋
今回は行き当たりばったりの思い付き訪問だったので、レンタサイクルの存在に気付くのが遅くなりました。
途中で、もしかしてレンタサイクルあるんちゃうん~?と検索をして存在を知り、谷中湖子供広場レンタサイクルセンターまで歩くことを決意しました。
その距離約2キロ。
見渡す限り広がる湖。
鳥のさえずりもあって、遠くでセスナが飛んでる音が聞こえて、のどかな景色。
ただ、ただ、影がなく・・・この日は39℃の炎天下・・・
久しぶりに見た陽炎・・・
北橋
ひたすら歩いて北橋に到着。
ここからの谷中ブロックの眺めはなかなか気持ちの良いものがありました。
浮島がいい雰囲気を演出しています。
1時間近く歩いてようやくたどり着いたのは、エアコンがきいてる「体験活動センターわたらせ」
体験活動センターわたらせ
職員の方(地元のおっちゃんたち)に出迎えられ、涼みがてら中を見学しました。
センターの中には渡良瀬遊水地で見られる鳥をはじめとした生物、植物の紹介や、渡良瀬遊水地の歴史などについて展示されています。
私たちが中央エントランスから炎天下歩いてきたことに驚いた職員の方に、涼みながら見られる紹介ビデオ(20分)を見せていただきました!
そのビデオや展示物から、初めて足尾銅山との関わりや平地型ダムという事を知り、ダムカードも頂きました( *´艸`)
このセンターの裏手にはバーベキューが出来る場所があり、テントを張ってキャンプっぽく過ごされている方もいらっしゃいました。
いや、気持ちがいいはず!
河川敷のように混雑していなくてなかなか穴場スポットかもしれないです。
下記サイトに詳細がまとめられています。
職員のおっちゃんたちに、レンタサイクルの乗り捨てが可能なことを聞いたので、道の駅かぞわたらせで乗り捨てる予定でレンタサイクルを借り、ここからが渡良瀬遊水地巡りの本番。
キジに遭遇
そんな矢先、キジ(雄)にお目にかかれました( ゚Д゚)!!
生垣の向こう側では、うちの相方がキジを私側に寄せようと牽制してくれているのですが、一定の距離を保ったまま、走るのがめちゃくちゃ早い!!!
飛ぶんじゃなくて走る走る。
キジって走るのが本当に早いんです。
それにしても、鮮やかな色合いで普段見慣れないからかなり興奮してしまいましたw
ウォッチングタワー
谷中村史跡保全ゾーンで、谷中村役場後などを巡りながら、ウォッチングタワーまで今度はレンタサイクルでスイスイ移動。
このタワーの足元にも、2019年の台風の痕跡が残されていました。
これを見ると、増水時このタワーの上は浸水していないことが分かります。
タワーからは結構遠くまで見渡せ、双眼鏡も設置されているので遠くの山々を間近に見ることも出来ます。
ここに設置されている解説によると、渡良瀬遊水地は栃木・群馬・埼玉・茨城の4県に渡っていると記されています。
4県の境に位置していると思うと、この土地は架け橋的な存在にも感じます。
流入堤
流入堤とは、水深が増すと流れ込む仕組みの堤防。
人力で動かす水門等と違い、流入量に併せて自然に流れ出るように作られているものです。
谷中湖東の一番大きな流入堤を見に行きました。
画像の青線部分に流入堤があります。
目的地を貯水池機場に定め、ウォッチングタワーを後にしたのですが・・・。
このルート選択、そもそもの間違いで。
のちに悲劇を招くことになりました( ノД`)シクシク…
やっとの思いで到着した流入堤近く。
ですが、思ったほど近くで見ることが出来ず・・・w
とはいえ、こんな感じかぁ~と眺めながら当初の予定通り貯水池機場を目指して一本道をひたすら進みました。
途中、分岐があり、当初はルート画像の紫線ルートで外回りしていこうと思っていたのです。しかし、分岐まで行くと。
行き止まりへの道と記した道があり、まっすぐ行けそうな感じに見えました。
もちろんこの時点では行き止まりになるとは知らず・・・。
しかし。それも覚悟の上でルート変更してまっすぐ川沿いに進むことにしました。
炎天下・・・39℃の太陽の下ひたすら進むと・・・
やっぱり行き止まりでした。
テトラポットみたいな脇から奥に行ってみたけど、自転車ではとても通れない状況ww
それでも通路になっているのは、恐らく釣り人の隠れSPOTなのでしょう。
目的地の貯水池機場はもう対岸に見えているのに、泣く泣く引き返すことになりました・・・
本当なら目的地を超えて湖を一周するような形で元来た中央エントランスまで行きたかったのですが、レンタサイクルのタイムリミットが迫っていたのと、何より炎天下でもう体力と耐力が限界近く><
元来た道を戻った後、谷中湖の真ん中を突っ切る形で中央エントランスまでたどり着きました。
後から知ったのですが、真ん中を中央エントランスに向かって走るのは、完全に逆走だったみたいです。
というか知っていたとしても、あの状況下ではやむを得なかったかも。(許してください><)
暑すぎて寒気がして鳥肌が立つという謎の現象に見舞われていたのです(危
その時のサイクリングログ。
意図せず13キロも走ることになったのでした・・・(;・∀・)
私はGarminユーザーなのですが、初めて見るバッジが取れました。
猛暑・・・38℃以上・・・やっぱり・・・
しんどかったもんねぇ。よく頑張ったねぇ。
中央エントランス付近には水道があり、そこで少し涼むことが出来たので本当にほっとしました(^^;
道の駅かぞわたらせ
レンタサイクルをお借りするときに、道の駅かぞわたらせで乗り捨てますとお願いしていたので、道の駅にて返却。
この建物の二階は休憩室になっていたので、そちらで暫く涼ませてもらえたのも本当に助かりました。
休憩室の隣にはアマチュア無線の基地局もありました。
また、お手洗いの他シャワー室もありました(シャワーは有料)。
のびのび遊べる渡良瀬遊水地
駐車場もあり、敷地内は一般の車通りがないので、比較的安全に自転車で巡ることが出来ます。
本気のサイクリストもたくさんいらっしゃいましたが、皆さん安全に配慮されている印象を受けました。
キャンプも出来る広場もあり、自転車を車に積んで、もしくはレンタサイクルを利用し、敷地内を散策することをお勧めします♪